「せん断破壊」について、分かりやすく解説!

 せん断破壊とは、材料や構造物にせん断応力が作用した際に、材料が滑るように変形して破壊する現象です。この現象は、橋梁やビルの基礎部分、接合部などの設計で重要な役割を果たします。ここでは、せん断破壊の基本的な原理、計算式、設計時に注意すべきポイントについてします。

1. せん断破壊とは

 せん断破壊は、材料や構造物にせん断応力が加わった際に、材料が滑るように変形して破壊する現象です。せん断応力とは、断面に平行な方向に働く力のことを指します。この破壊は、以下のような状況で特に起こりやすいです:

  • 接合部(ボルトや溶接部)に大きな荷重がかかる場合
  • 梁や柱の支点付近で荷重が集中する場合
  • 地盤やコンクリート内部で応力が不均一に分布する場合

 
 例えば、クッキーを両手で持ってひねるとクッキーが割れる、はさみの刃で紙を切るなどが、身近なせん断破壊の現象です。たとえば、梁の支点付近で荷重が集中すると、その部分でせん断応力が大きくなり、せん断強さを超えると破壊が発生します。

2. せん断破壊の計算方法

 せん断破壊が起こるかどうかを判断するには、以下の計算式を用います:

 τ=P/A

 ここで、τ:せん断応力(N/mm²)、P:荷重(N)、A:断面積(mm²)

せん断強さの確認

 せん断破壊が起こるかどうかは、せん断応力が材料のせん断強さ τsを超えているかで判断します。
破壊条件は次のように表されます:τ>τs

 例として、断面積:A=50mm2 のボルトに、荷重:P=2000N がかかる場合を考えます。材料のせん断強さ:τs =30N/mm2 のとき:

 τ=2000/50=40N/mm2

 この場合、τ>τs となり、せん断破壊が発生すると判断されます。

3. 材料のせん断強さの確認方法

材料のせん断強さは、主に以下の方法で確認することができます:

  1. せん断試験:
    • 直接せん断試験:試験片に直接せん断力を加えて破断させる方法。
    • パンチせん断試験:円筒状のパンチで試験片を打ち抜く方法。
  2. ねじり試験:
    • 円柱状の試験片にねじりモーメントを加えて破断させる方法。
  3. 引張試験からの推定:
    • 引張強さからせん断強さを推定する方法(例:τ = 0.577σ)。
  4. 圧縮試験:
    • 45度の角度をつけた試験片を圧縮して、せん断破壊を起こす方法。
  5. 材料データベース:
    • 既存の材料データベースを参照する方法。
  6. 非破壊試験:
    • 超音波探傷法などを用いて、材料の内部状態を確認する方法。

 代表的な鉄筋のせん断強さは以下のとおりですが、このような一般的な材料であればデータベースで確認することができます。

鉄筋の種類引張強度 (σt)せん断強さ (τ ≈ 0.577σt)
SD295A約440 MPa約254 MPa
SD345約490 MPa約283 MPa
SD390約590 MPa約341 MPa

 また、おおよその値で比較検討をしたいという場合であれば、推定式から推測することもあります。

 例)一般的なSD295A(降伏強度295 MPa以上)鉄筋の場合:

 引張強度が約440 MPaとすると、せん断強さは:τ=0.577×440≈254MPa

4 せん断破壊を防ぐための設計方法

せん断破壊を防ぐためには、以下の方法が効果的です:

  1. 安全率の設定:
    • 実際の使用環境や負荷が設計時の想定と異なる場合があるため、材料のせん断強さを超えないように設計時に余裕を持たせることが一般的です。分野や条件によって設定される安全率は異なり、鉄骨構造の計算などでは2.5~3で設定されます。
  2. 応力集中の回避:
    • ボルトの頭部や梁の角部で形状をなだらかにすることで、応力集中を軽減できます。
  3. 複合応力の考慮:
    • せん断応力だけでなく、引張応力や圧縮応力が同時に作用する場合があります。これを考慮して、より精密な応力解析を行います。
  4. 適切な材料選定:
    • 高強度の鋼材や耐久性の高いコンクリートを使用することで、せん断耐力を向上させます。
  5. 補強設計:
    • 壁や柱などにせん断補強筋を適切に配置することで、せん断破壊に対する耐久性を向上させます。

 

 せん断破壊は構造物の設計や安全性に大きな影響を与える重要な現象です。これを防ぐためには、正確な計算と適切な設計が欠かせません。材料の特性を考慮しつつ、応力集中を避ける工夫や最新技術を活用することで、構造物の安全性を高めることができます。構造物を支える技術の重要性を理解し、日常の安全の裏側にある工夫に目を向けてみましょう。

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