「配筋」について、分かりやすく解説!

 建物や橋を支えるコンクリートは非常に強いですが、引っ張る力に対しては弱い性質を持っています。その弱点を補強するために使われるのが「鉄筋」です。そして、鉄筋を適切な位置に配置して、コンクリートの中に組み込む作業を「配筋(はいきん)」と呼びます。ここでは、配筋の目的、種類と特徴、施工時の注意点について説明します。

1. 配筋の目的

 配筋の主な目的は、コンクリートの構造物に強度を加え、引っ張る力やねじれの力に耐えられるようにすることです。鉄筋は、以下のような役割を果たします。

  • 引っ張り強度を高める
     コンクリートは圧縮する力には強いですが、引っ張る力には弱いという特徴があります。鉄筋をコンクリートに組み込むことで、引っ張りに対する強度が大幅に向上します。
  • ひび割れを防止する
     コンクリートは固まる際に収縮するため、ひび割れが生じやすいです。適切に鉄筋を配置することで、ひび割れの発生を抑えます。
  • 地震や風の力に耐える
     構造物が地震や強風を受けたときに生じる揺れやねじれに対して、鉄筋が補強することで建物の安全性を高めます。

2. 配筋の種類と特徴

  配筋には、鉄筋の配置方法や目的に応じてさまざまな種類があります。

  • 主筋(しゅきん)
     柱や梁の主要な力を受け持つ鉄筋です。柱では縦方向に、梁では上下に配置され、曲げ応力に抵抗します。主筋は部材の軸方向に沿って配置され、建物全体の骨格を形成する重要な役割を担っています。
  • 帯筋(たいきん)
     主に柱に使用される鉄筋で、主筋を囲むように配置されます。その目的は、主筋の座屈を防ぎ、コンクリートの膨張を抑制することです。帯筋は、地震時などに発生するせん断力にも対抗し、柱の強度を高める役割も果たします。
  • スラブ筋
     床や屋根などの平面的な部分に使用される鉄筋です。スラブ筋には主筋と配力筋があります。主筋は通常短辺方向に配置され、主要な力を受け持ちます。配力筋は主筋と直交する方向に配置され、力を分散させる役割があります。
  • スターラップ筋
     梁に使用される鉄筋で、日本語では「あばら筋」とも呼ばれます。主筋を囲むように配置され、せん断力に抵抗する役割があります。スターラップ筋の形状や配置方法は、梁の種類や力の作用状況によって異なります。

3. 施工時の注意点

 配筋を行う際には、いくつかの重要なポイントがあります。

  • 正確な位置と間隔を守る
     鉄筋が設計図に基づいた正しい位置に配置されていないと、コンクリート構造物の強度が十分に発揮されません。そのため、配置位置や間隔は厳密に管理します。
  • 鉄筋の錆びに注意する
     錆びた鉄筋を使用すると、コンクリートの中で鉄筋が腐食し、建物の耐久性が低下します。施工前に鉄筋の表面が錆びていないかを確認し、必要に応じて清掃します。
  • かぶり厚さを確保する
     鉄筋がコンクリートに十分に覆われるように、一定の厚さ(かぶり厚さ)を確保する必要があります。これにより、鉄筋が外部の空気や水に触れて錆びるのを防ぎます。
  • 結束線の使用
     配筋した鉄筋が動かないように、鉄筋同士を結束線でしっかりと固定します。これにより、コンクリートを流し込む際に鉄筋の位置がずれるのを防ぎます。

 配筋は、コンクリート構造物の強度と耐久性を高めるために欠かせない工程です。鉄筋を適切に配置することで、引っ張る力や外部からの衝撃に対して強い建物を作ることができます。また、配筋にはさまざまな種類があり、各部分の役割に応じて配置されます。施工時には、鉄筋の位置や錆びに注意しながら、設計通りに正確に作業を進めることが重要です。

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