土木工事や建築で使われる「高力ボルト」は、部材同士をしっかりとつなぎ合わせるための重要な部品です。高い強度を持つこのボルトは、橋やビルなどの大きな構造物で特に活躍しています。ここでは、高力ボルトの目的や種類、設置時の注意点について説明します。
高力ボルトの目的
高力ボルトの主な目的は、構造物の部材同士を強固に接合し、全体の安定性と安全性を高めることです。特に、鉄骨造の建物や橋梁などでは、部材間の接合部が重要な役割を果たします。高力ボルトを使用することで、これらの接合部がしっかりと固定され、構造物全体の強度が向上します。
高力ボルトの種類と特徴
高力ボルトには主に以下の3種類があります。
- 摩擦接合用高力六角ボルト
- F8TとF10Tの2種類があり、通常はF10Tを使用
- ボルト呼び径は7種類(M12、M16、M20、M22、M24、M27、M30)
- 構造用トルシア形高力ボルト
- 現在、建築物で使用される高力ボルトの90%以上を占める
- S10Tのみで、強度はF10T高力ボルトに相当
- 溶融亜鉛めっき高力ボルト
- 屋外や錆対策が必要な箇所で使用
- F8Tのみ使用可能
- ボルト呼び径は4種類(M16、M20、M22、M24)
設置時の注意点
高力ボルトを設置する際には、以下の点に注意が必要です。
- 再使用の禁止:一度使用した高力ボルトは再利用できません。
- 適切な工具の使用:
- 摩擦接合用高力六角ボルトの場合、ナットを規定のトルクで締め付けます。
- トルシア形高力ボルトの場合、ピンテールが破断するまで締め付けます。
- 締付け後の検査:
- 全数について、所要のナット回転角が与えられているか目視で確認します。
- 規定のナット回転量に対して±30°の範囲内であることを確認します。
- 表面処理:接合面の表面をザラザラにし、適切な摩擦係数を確保します。
- 適切な組み合わせ:高力ボルト、ナット、座金は規定のセットで使用します。
- 向きの確認:ナットには向きがあり、等級マークがある方を外側にします。
高力ボルトは、構造物の部材同士を強固に接合し、全体の安定性と安全性を高めるために欠かせない部品です。主には摩擦接合用高力ボルト、構造用トルシア形高力ボルト、溶融亜鉛めっき高力ボルトの3種類があり、それぞれに特徴があります。
設置時には、再使用の禁止や適切な工具の使用、保管期間の管理、加工の禁止など、注意すべき点がいくつかあります。これらのポイントを押さえることで、安全で丈夫な構造物を作ることができます。
コメント