「遮水壁の種類と特徴」について、分かりやすく解説!

 地下工事や基礎工事で用いられる三つの工法について、その特徴やメリット・デメリット、施工時の注意点を解説します。シートパイル方式、ソイルセメント方式、連続地中壁方式は、それぞれ異なる特性を持ち、現場の状況に応じて選択されます。

シートパイル方式

シートパイル方式は、鋼製の板状の杭(シートパイル)を地中に打ち込んで壁を作る工法です。

特徴

  • 仮設の土留めとして使用した後、本設の基礎構造として活用できます。
  • 直接基礎と同等の安価な施工が可能です。

メリット

  • コスト削減:杭基礎と比べて大幅にコストを縮減できます。
  • 工期短縮 :シートパイルの引き抜き撤去工程を省略できます。
  • 高い耐震性:水平抵抗や引き抜き抵抗を向上させます。

デメリット

  • 騒音・振動:打ち込み時に発生する可能性があります。
  • 適用地盤の制限:非常に硬い地盤では施工が困難です。

施工時の注意点

  • 事前の地盤調査が重要です。
  • 狭小地では機械の設置スペースの確保が必要です。
  • 礫層などの固い地盤では、先行掘削が必要になることがあります。

ソイルセメント方式

ソイルセメント方式は、現地の土とセメントを混合して固化させる工法です。

特徴

  • 現地の土を有効活用します。
  • 環境への負荷が比較的小さいです。

メリット

  • 土の搬出入が少なく、環境に優しいです。
  • 地盤の強度を向上させることができます。
  • 遮水性が高く、地下水の浸入を防ぎます。

デメリット

  • 細粒分を多く含む土砂などは十分な強度が発現できず、適用が難しい場合があります。
  • 固化に時間がかかることがあります。

施工時の注意点

  • 土質の均一性を確保することが重要です。
  • セメントの配合比を適切に調整する必要があります。
  • 固化後の強度管理が重要です。

連続地中壁方式

連続地中壁方式は、地中に連続した壁を構築する工法です。

特徴

  • 高い遮水性と構造強度を持つ壁を形成します。
  • 大深度の掘削が可能です。

メリット

  • 高い遮水性:地下水の浸入を効果的に防ぎます。
  • 構造物としての利用:完成後、地下外壁として利用できます。
  • 低振動・低騒音:市街地での施工に適しています。

デメリット

  • 高コスト:他の工法と比べて費用が高くなる傾向があります。
  • 施工に時間がかかります。

施工時の注意点

  • 掘削時の垂直精度の確保が重要です。
  • 鉄筋かごの建て込みや、コンクリート打設時の品質管理が必要です。
  • 周辺地盤への影響を最小限に抑える配慮が必要です。

 これらの工法は、それぞれ特有の特徴を持っています。シートパイル方式は比較的安価で施工性に優れ、ソイルセメント方式は環境への配慮が可能、連続地中壁方式は高い遮水性と構造強度が特徴です。現場の条件や要求性能に応じて、最適な工法を選択することが重要です。施工時には、各工法の特性を理解し、適切な管理と注意を払うことで、安全で効果的な地下工事や基礎工事を実現することができます。

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